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最高裁判所第一小法廷 昭和46年(オ)254号 判決 1971年10月14日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人関口保二、同関口保太郎、同多比羅誠の上告理由第一点および第二点について。

原審の確定した事実関係は、挙示の証拠関係に照らして、首肯することができないものではない。そして、右事実関係よりみれば、被上告人と上告人との間の本件店舗の賃貸借契約が営業利益分配契約的要素をも具有しているものであることは、所論のとおりである。しかしながら、建物の賃貸借契約が営業利益分配契約的要素を具有しているということだけでは、直ちに、借家法(昭和四一年法律第九三号による改正前のもの)七条の適用を否定する理由となるものではなく、また、所論のスライド約定も同条但書にいう賃料不増額の特約にあたるものとはいえないから、賃料につき本件のような約定のある建物の賃貸借契約においても、同条本文所定の要件を充足するときは、当事者はその賃料の増減額を請求することができるものと解すべきである。したがつて、以上と同旨の見解に立つ原審の解釈判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解に立つて原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

同第三点について。

原審の口頭弁論調書によれば、上告人は、原審において、第一審判決事実摘示記載のとおり第一審口頭弁論の結果を陳述したにとどまり、その余の主張を陳述していないものと認められるから、右事実摘示に記載されていない所論の主張は、上告人が原審において陳述しなかつたものといわなければならない。そして、原審において陳述しなかつた主張については、原審の判断遺脱をいうことは許されない。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下田武三 裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三 裁判官 岸 盛一)

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